無職のゆらぎ

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映画エッセイっぽいなにか(1)/百円の恋(2014)

かの昔、と言っても数年前。

お昼のお茶の間のお供がいいともだった時代。テレホンショッキングに旬のイケメン若手俳優が番宣か何かで出演していた。

「休みの日は何をして過ごすの?」という当たり障りのないタモさんの質問にその若手俳優は「特に何もしないんですよね~、でも最近映画の予告を動画サイトで見るのにはまってます」って返す。タモさんが「気になった映画は映画館に観に行くの?」とまた質問返し。その若手俳優は「いや観に行かないです」ってヘラヘラ笑いながら答えてた。なんだそれ。演技の仕事してる若手俳優がそんなんでいいのか、と当時すごく憤った記憶がある。

それから数年、未だにテレビや映画に引っ張りだこの俳優だが、そいつが出てる作品は見たくないなと思った。

 

とはいえ予告だけでお腹いっぱいになるんじゃないかと思うような素晴らしい映画予告があるのも事実。今まで300回は見たんじゃないかと思う予告がある。「百円の恋」の予告だ。

 

「イン・ザ・ヒーロー」の武正晴監督、安藤サクラ主演。その時点で見に行こうと思ってたのだが予告だけで一発ノックアウトだった。

クリープハイプの楽曲に乗せてぶった切るような編集で脈絡のないカットが続く。あまりにも気になって予告編を編集してる人が誰なのか調べた。納得。「先生を流産させる会」「ライチ光クラブ」などでおなじみの内藤瑛亮監督だった。

 

そんなこんなで私の「百円の恋」との出会いは2015年新春、地元神戸での上映初日、武監督と安藤サクラが舞台挨拶にやってくるということで早朝から元町映画館に並んだ。のちにわかることだが、この日元町映画館始まって以来の大盛況で立ち見を出しても入りきらない客がいたほどだったらしい。

 

予告だけで既にダウンを一個取られてる私の身にボディブローが入りまくった映画だった。後半30分でKO負け。私の両隣に座ってた人は迷惑だっただろうなっていうくらい泣き通した。あまりに泣き通したため上映後パンフを買い武監督と安藤さんからサインをもらったのだが、全く目を見て話せなかった(泣きはらしすぎて伏し目がちになる私の顔を覗き込むようにありがとうございます、と言ってくれた安藤サクラさんは神だった!)

やっぱり予告だけでお腹いっぱいになるなんてありえないんだよ!ざまあ見やがれ!

 

この映画体験以降、私の「同じ映画を何度も見るくらいだったらその時間で他の映画見るわ!!」理論は見事に崩れ去った。この日の5日後くらいに大阪の劇場で2回目を見て、真っ赤な目をしながら学校で授業を受けた。

 

昨年秋しんゆり映画祭でこの映画がかかるということで久々に見た。過去2回と同じく後半30分で涙が止まらなくなった。この時、ちょうど職場のプロデューサーと職場内配置のことで大喧嘩し、仕事を飛んでた時期だったので、クライマックスのボクシングシーン、主人公一子が相手に一発も当てられずにいるところに、セコンドに立っていたトレーナーが「何のためにここまで来たんだよ!!」と声を荒げるシーンが刺さる刺さる。

見終わってトイレで真っ赤な目をした自分を見たとき、「何かを始めるのに、遅いなんて言い訳でしかないよな」と当たり前のことを改めて思った。

 

(そういえばだけど冒頭で話した私が心底ムカついた若手俳優、武監督の「イン・ザ・ヒーロー」に出てたな、とどうでもいいことを思い出した。)

 

 

 

 

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百円の恋(2014)/日本/監督:武正晴/出演:安藤サクラ新井浩文